川上未映子「ヘヴン」

ヘヴン (講談社文庫)作者: 川上未映子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/05/15メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (30件) を見るTwitterで知って「愛の夢とか」を読み割と好きなタイプの作家さんかなと思って(「愛の夢とか」読…

私は「こじらせ系」?「モテない系」?「自意識過剰」?-「脱・詰問系女子」への道

自分という人間のメンタリティを端的に紹介できる言葉をずっと探していた。自分は基本ひねくれた人間だし、物事を斜めから見るところがあると思っている。ドラマや映画では悪役扱いされる脇役の方に感情移入しがちだし、お笑いは全般好きだけど、心を射貫か…

私にとっての「村上春樹」

「好きな作家は?」と聞かれたことはないが、もし聞かれたら「なんだかんだで村上春樹かなあ」と答えると思う。しかし「おすすめの小説はありますか?」と聞かれたらまず村上春樹の作品は選ばないだろう。正直に言うと村上春樹の作品はほぼ全て読んでいるが…

長野まゆみ「45°」

45°作者: 長野まゆみ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/03/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る中学生の頃「少年アリス」の時代にすごくはまっていた作家さん。 ものすごく久しぶりに「レモンタルト」を読み相変わらずBL路線なんだなと…

川上未映子「愛の夢とか」

愛の夢とか作者: 川上未映子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/03/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (21件) を見る読んでわかったのは表題作は「愛の夢とか」=「『愛の夢』とか」なんですね。「とか」っていう言葉をつける距離感がいい。物語の主…

ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て作者: 山内マリコ出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2012/08/24メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 100回この商品を含むブログ (67件) を見る特筆すべきはタイトルの秀逸さ。それぞれの物語に共通するテーマを見事に言い当てている。 私…

コスモスの影にはいつも誰かが隠れている 藤原新也

コスモスの影にはいつも誰かが隠れている (河出文庫)作者: 藤原新也出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/06/05メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見るフリーペーパーに連載されていたということもあってか、とても読みやすい…

MOVED 谷村志穂

ムーヴド著者 : 谷村志穂実業之日本社発売日 : 2008-05-16ブクログでレビューを見る»人と人との関係には、何か「しっくりくる」ことがあったり、何か「しこりがある」ことがあったりする。この物語は、夫に恋人が出来て捨てられた主人公が、心機一転、一人暮…

ジェントルマン/山田詠美

ジェントルマン山田詠美講談社発売日:2011-11-26ブクログでレビューを見る»この人の性描写って独特だ。何気ない描写の中に性的なものが常に漂っていて、性行為が特殊なものじゃなく、ごく自然な流れの中で描かれる。 「感じのよさ」に含まれる「胡散臭さ」…

王国

王国中村文則河出書房新社発売日:2011-10-14ブクログでレビューを見る»息つく暇なく読み進むことができるけど、小説のジャンルとしては好みではないかな。姉妹編の小説を読むと木崎という人がより深く理解できて面白いのかもしれない。ハードボイルドならも…

蜩の声

蜩の声古井由吉講談社発売日:2011-10-28ブクログでレビューを見る»五感、特に匂いにかんする描写がとてもきめ細やかで香り立つような文章。現在と過去が交錯する、主人公の記憶の世界。老いるということは自己と他者、身体と環境などのあらゆる境界が曖昧に…

告白

告白湊 かなえ双葉社発売日:2008-08-05ブクログでレビューを見る»それぞれのキャラクターの視点から見ると、一つの事件が全く別のものに見えてくる。それぞれが見た事件を重ね合わせると全容が少しずつ見えてくるのが面白い。巻末の映画監督のインタビュー…

何もかも憂鬱な夜に

何もかも憂鬱な夜に作者: 中村文則出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/03メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 15回この商品を含むブログ (18件) を見る幼少期を施設で過ごした「僕」は刑務官として働いている。同じ施設の出だった真下は川に飛び込んで自…

オレンジ・アンド・タール

オレンジ・アンド・タール作者: 藤沢周出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2000/04メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (5件) を見るオードリー若林さんの好きな本。 思春期の生臭さと衝動が描かれている。こっこの小説を読んだ時も、女の…

紫の領分

紫の領分作者: 藤沢周出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る小説中に繰り返し出てくる紫色の稜線。その風景を抜けて主人公は二つの生活を行き来する。嘘をついたまま死んだ同僚の心情を想像しながら、自…

すぐそばの彼方

すぐそばの彼方 (角川文庫)作者: 白石一文出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/01メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (39件) を見る権力闘争の末に主人公が最後に重要な選択をするんだけど、それが腹が据わった感じがしない。また周りに強…

心に龍をちりばめて

心に龍をちりばめて (新潮文庫)作者: 白石一文出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/10/28メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (18件) を見るこの人の本は初めて読んだけど、みんなのレビューでよく美男美女を描く作家さんなのだと知…

リトル・ピープルの時代

リトル・ピープルの時代作者: 宇野常寛出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2011/07/28メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 362回この商品を含むブログ (86件) を見る仮面ライダーもウルトラマンも勧善懲悪のお決まりの物語なんだと思い込んで見たこともなかっ…

卵の緒

卵の緒 (新潮文庫)瀬尾 まいこ新潮社発売日:2007-06ブクログでレビューを見る»家族という集合体がこんなに簡単に優しくあれるものなのかどうなのか私にはよくわからないけど、主人公が子どもだから、子どもはどんな家族にいてもそれを普通として順応して生…

日本の名随筆「猫」

日本の名随筆 (3)作品社発売日:1982-01ブクログでレビューを見る»人に飼われるというより、コミュニティの中を自在にうろちょろしていた時代の猫たちの生活がわかる。「ペットと飼い主」というより「猫と人」としかいいようのないゆるやかな人との関係は、…

ひきこもりカレンダー

ひきこもりカレンダー勝山 実文春ネスコ発売日:2001-01ブクログでレビューを見る»引きこもる側が引きこもりながら引きこもることについて意見を述べるってあんまりないことなんじゃないだろうか。よくは知らないんだけど。引きこもる人はみんな後ろめたさと…

桃色トワイライト

桃色トワイライト (新潮文庫)三浦 しをん新潮社発売日:2010-02-26ブクログでレビューを見る»この人の小説の抑制のきいた笑いは、このあふれるような言葉の渦から選び取られているのか。ちょっと勢いについていけず、置いて行かれる感があるが、相性の問題だ…

芸人交換日記〜イエローハーツの物語

芸人交換日記 〜イエローハーツの物語〜鈴木おさむ太田出版発売日:2011-03-10ブクログでレビューを見る»泣きはしなかったけど、夢を追いかけるって楽しくて辛くて厳しいことなんだなって思うと何だか切なくなった。私が見たいお笑いは、こうやって夢を諦め…

魯山人の料理王国

魯山人の料理王国北大路 魯山人文化出版局発売日:1980-02-25ブクログでレビューを見る»一つのことをある程度やり続けていると、そこにその人らしさが出てくるのは確かではあるけれど「仕事上の失敗と人格的な欠陥を一緒にしない」というのが理性的な考えの…

あたらしいあたりまえ。

あたらしいあたりまえ。松浦 弥太郎PHP研究所発売日:2010-01-16ブクログでレビューを見る»暮しの手帖つながりで「すてきなあなたに」と並行して読んでいたのでつい比べてしまうのだけど、同じ「ていねいに」でもこの人のていねいは防衛でもあるという気がし…

まほろ駅前多田便利軒

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)三浦 しをん文藝春秋発売日:2009-01-09ブクログでレビューを見る»とても読みやすくて一気に読んだ。主人公の内心のツッコミが時々すごくツボにはまって笑える。この人の小説は初めて読んだけど、他の本も読んでみたい。久し…

すてきなあなたに

すてきなあなたに大橋 鎮子暮しの手帖社発売日:1994-09ブクログでレビューを見る»松浦弥太郎から暮しの手帖つながりで読んだ。子供のときに家にあってよく読んでいた暮しの手帖の世界がそのままそこにある感じ。松浦弥太郎のストイックなやり方はなかなか真…

日々の100

日々の100松浦 弥太郎青山出版社発売日:2009-03-26ブクログでレビューを見る»この人の好きなものには「白いもの」がとても多い。白いシャツ、白いハンカチ、白い風呂敷…本文中では色に触れていないが、たぶんトランクスも白だ。白いものを身の回りにおくの…

いつもの毎日。

いつもの毎日。松浦 弥太郎ベストセラーズ発売日:2010-07-21ブクログでレビューを見る»ものを買うと「ああ、ようやくこれ(例えば茶碗などの雑貨や衣類)を探す日々から解放された」と思う時がある。もの探しは楽しくもあり、果てしなく煩わしくもあるのだ…

くちぶえサンドイッチ

くちぶえサンドイッチ 松浦弥太郎随筆集 (集英社文庫)松浦 弥太郎集英社発売日:2008-04-18ブクログでレビューを見る»自分の中の「好き」「いいな」という気持ちに敏感になるって、実は結構難しいことで、無意識のうちに、ちょっとした手間やお金を惜しんだ…