何もかも憂鬱な夜に

何もかも憂鬱な夜に

何もかも憂鬱な夜に

幼少期を施設で過ごした「僕」は刑務官として働いている。同じ施設の出だった真下は川に飛び込んで自殺した。自分の中にも破滅に向かう衝動があることを感じながらも、育ててくれた「あの人」のように生きる道を、「僕」は選ぶ。
原点になる人の存在が、その人のその後の人生を温めてくれるということがある。それがあるから人は生きられる。そういう作者の信念が感じられる作品でした。物語は暗い雨に彩られているけれど、最後には希望を残す読後感。