アンジャッシュ児嶋さんは超いい天然。

アンジャッシュのDVD「五月晴れ」を見た。

私が好きだったのは「名門学校でお笑いライブ」。
真面目さが行き過ぎて面白くなるとか、全然面白くないことが逆に面白くなるっていうのが個人的に好きです。
バカリズムの「贈るほどでもない言葉」に通じるものがあるかも。

作り込まれたコントはもちろん見事なんだけど、そのコントを解説する副音声を合わせて聞くのが面白い。
「ボケのように見えるけど児嶋を追い込んでいる」
とか
「まだやってないパターンのネタを作ろうと思った」
とか構造的な裏話が聞ける。

印象に残っているのは

渡部「(このコントの)オチが僕個人的にすごく気に入っているんです」
児嶋「俺もそう」
渡部「こういうねえ、いいんですよ、僕。古典のようなオチで。コントの一本目としてはね」
(黙ってコントを見る。オチが近づく)
「オチるよ!」

と二人でオチを待つところ。
二人が好きだと思うポイントが同じで、そんな二人だから、あんなオチまでしっかり練られたコントができるんだなあというのを実感した。

このDVDに関わるクイックジャパンのインタビューで二人は

「よく『ライブの一週間前になってもネタが出来ていない』という話を聞きますけど、そういうことができる芸人さん達は本当に才能があるんだと思いますよ。僕たちには無理です。公演を中止しますね、絶対」(渡部)
「本番の二週間前には全てが完璧に仕上がっていないと不安なんですよ」(児嶋)
「二週間前にネタも出来て、練習を重ねても、どこか落ち着かない部分はあったかなあ〜」

と語っている。どこまでも作り込みを周到に重ねる二人だ。

しかし大変申し訳ないのだけど、最も印象に残ったのはその周到なコントではなく、幕間の映像と思われる「検証!児嶋はどれだけ無知なのか!?」という企画。

児嶋さんがクイズに答えるというシンプルな企画なのだが、その答えがすんごくいい。

(現在の五千円札に描かれている人物は?)
岩倉具視」「野口一葉」

日本三景といえばどこ?)
屋久島、富士山、京都」

(高級ブランドの名前を5つあげよ)
「ヴィトン、グッチ、アルマーニ、フェラガモ、ボルシチ

(世界四大文明
インダス文明黄河文明、チグリスユーフラテス川

(「○○は小粒でもぴりりと辛い」○○に入る言葉は?)
ハバネロ」「ブートジョロキア

この問題、結構難しい。日本三景とか、四大文明とか、私わかりません。途中までちゃんと答えてるだけで児嶋さん結構頭いい。
間違い方も「岩倉具視」とか「チグリスユーフラテス川」「ブートジョロキア」とか、ものを知らないわけじゃない、というのがわかる。こういう、芸人さんから「教養ありげ」な感じが滲む瞬間が、私はすごく好きだ。
でもそこまでできてるのに、日本三景に「京都」とか、高級ブランドに「ボルシチ」とかものすごいいい加減。そのギャップがまたいい。
たぶんそういうところを引き出すよう問題が練られているんだろうな。絶妙な難易度。

(「フランダースの犬」の犬の名前は?)
「ペロ?」「ペル?」「ペレ?」「シロ?」
(見たことあります?)
「クララが立った、でしょ」

なんて最高です。

児嶋さんは最近いじられキャラでよく出てくるけど、いろんな人から次々にいじられても的外れなキレ方はあまりしなくて、安定感がある。それが最近よく出てきている理由なんだろう。

自分がそうやって露出を増やしていることについて児嶋さんは前述のクイックジャパンのインタビューでは

「ひとりでバラエティに出るようになって、僕のキャラクターが出たというか、バレたじゃないですか?だから『ドジなコイツが振り回されるところが見たい』という部分で笑ってくれているのは感じましたよね。いままではどこにでもいる普通の二人だったのが、そこに人間味が加わって、一歩、深みが出たんじゃないかって」

と話している。

なんかこれを聞いて猛烈にラーメンズが見たくなった。
ラーメンズって、裏側を見せないことにたぶんかなりこだわっていた(小林さんが「パン屋は美味しいパンが焼ければいい」みたいなことを言っていたような気がする。ものすごいうろ覚え)、というか小林さんは今でもそうだけど、片桐さんはラジオその他で相当素の顔を暴かれているから、今の二人がコントをやったら、片桐仁の人間性という要素が加わって更に面白いコントができるんじゃないだろうか。
ポツネンも面白いけど、スキがなすぎてちょっと胸焼けしちゃうんだよ。うう、見たいよラーメンズ

何の話だっけ、アンジャッシュの話でした。

これもものすごいうろ覚えなんだけど、前に何かの番組で児嶋さんがいじられてキレて、
「それは○○で○○になって○○で最終的に俺がおいしくなるやつだろ!」
と笑いの構造を説明してしまって
「それを言っちゃダメでしょ!」
とみんなに突っ込まれていた記憶がある。
まあ、それを言っちゃだめなのは確かなんだけど、とっさの状況でそんなにすらすらと構造を説明できる人って芸人さんでもそんなにいないのでは。笑いの「裏」を日頃からよく考えている人なんだろうなあと思う。

そういえば児嶋さんの単独ライブっていうのもあったんだよな。見てみようかな。