「コント・ニュー2013」に見るコントの新しい楽しみ方

「コント・ニュー2013」という番組を見た。
公式サイトには

キャラが立っているコント、同じシリーズのコント、同じ設定のコント、同じシステムのコント、ストーリーが続いているコント…

いろいろなネタ番組でハマったネタは結局擦られ、続編のコントが見たくなり第2弾、第3弾と作られていく…
この番組はそんなコント番組の性質をそのまま番組パッケージにし、より続きが観たくなるよう演出してお届けする新型連続ネタ番組です!

と書いてある。
この「より続きが見たくなるよう」の仕掛けが実に乱暴だ。
なにしろ一本のコントを途中でぶった切ってしまうのだ。続きが見たいかどうかを観客が投票し、80票以上の票が入ったらコントの続きを見られるシステムだ。合間にはゲスト審査員のコメントも入り、コントの流れは完全に中断される。

ラーメンズの同じ舞台を二日続けて見に行ったことがあるのだが、一日目、あるコントで小さなアクシデントがあり(セットの配置か何かだったと思う)コント自体は特に大きな破綻なく終わったのだが、二日目にアクシデントがない同じコントを見て、空気感というか、大きな流れが全然違うものになるのだなと思った。コントとはそのくらいデリケートなものなのだ。それを途中でぶった切るとは何事だ!と私は憤った。

だが、見ているうちに、これはこれで新しい見方が出来るのかなと言う気がしてきた。ストイックに一本のネタを見せたい芸人さんには向かないかもしれないが、コントのどの部分でぶった切るかというところにそれぞれの芸人さんのセンスが現れる。いかに「もっと見たい!」と思うところで切るかという技術が問われる。そこを見るのがなかなか面白い。
圧巻だったのはサンドウィッチマン。出オチのネタを本当に「出ただけ」のところで切ってしまった。審査員の板尾創路さんに「これを『前半』と言っていいのか」と言われていたけど「この人何者!?これから何するの!?」感がかなりよく出て高得点を出し、もちろん後半も放映。逆にデニスは「え、そこまで見せちゃったらもう続きいらなくね?」と思うくらい見せちゃって、案の定80票越えならず、後半は見せられなかった。(テレビで結構ネタを見せられたという意味では、悪くなかったのかもしれないけど)
1つのコントをぶった切ると考えるのではなく、2話完結のコントだと考えて、いかに第2話を見たくなるように作るかということだと考えるとなかなか興味深い。
この番組、続くのかどうか知らないけど、「続編のコントが見たくなり第2弾、第3弾と作られていく…」という公式サイトの言葉通り、ネタがある程度シリーズ化されて「あ、またあいつの話か!」みたいになっていったら、人気シリーズは登場人物が出てきただけのところで切るとか、いろいろ工夫した切り方が出来て結構面白いんじゃないかと思った。
しかしコント師さんたちもいろんな能力を求められて大変ですね。ネタが作れるだけじゃ生き残っていけないのか。