猫雑貨のこと。

好きなものは何かと聞かれたら、くい気味に「猫!猫猫猫猫!」と即答出来るくらい猫が好きだ。海が干上がって大地が割れて石が砂になってとか何言ってるかよくわからないけど、苔のむすまで好きだ。日本ばんざい。

で、当然、猫の絵のついた雑貨とか、猫型の雑貨とか、猫モチーフのものも好きだ。
好きなんだけど、私は猫雑貨のストライクゾーンがすごく狭い。これはいいと思えるものには滅多に出会えない。たいていの猫雑貨は「甘すぎる」と思ってしまう。

なんだかんだ言って一番かわいいのは本物の猫で、リアルを目指したところでよほどのことがない限りは本物のかわいさを超えられないような気がする。ある程度デフォルメされたアートっぽいほうが好みだ。ちなみに最近気に入っているのは、リサ・ラーソンの猫。ああいう、ちょっと小憎らしい顔にぐっと来る。

BABY NUMBER BOOK

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自分で猫雑貨を作っていてもそれは同じで、当然「甘すぎない」ものを作ろうと努力しているのだが、出来たものに満足出来ることはほとんどない。

デフォルメしたくても私には猫をデフォルメするセンスはない。色を使った綺麗なフェルト猫が作りたくていろいろ試したが配色がまったく出来ず、結局、単色の猫をいろんな色で作ってたくさん並べるしかできなかった。ぱっと見は悪くないのだが、雑貨として売るときはばら売りだから、色とりどりの華やかさは全く生きない。
好きな配色のものの写真を集めてみたり、色彩検定の勉強をしてみたりもしたが、大して作品には反映させられなかった。

それでリアルな猫を作る方に方向転換してみたのだが、本物の猫のように好きになれるレベルの精巧さにはとうてい手が届かない。オーダーメイドもなんどか受けたが、注文してくれた人の猫への思い入れを形にできるのだろうかとものすごい不安になる。ちょっと調べればオーダーメイドで精巧な、ちゃんとかわいい猫を作れる人がたくさんいて「ここまで出来てこそ価値があるよな」と落ち込むばかりだ。

「自分が好きだと思えるもので、人にも受け入れられるレベルのものは、自分では作れない」という辛い現実。

それなりに自分の作ったものを気に入っていたときもあったが、最近は自分の作ったものを見ても下手な絵にしか見えない。ちょっと崩した「かわいい」とただ崩れているのは全然違うのだ。
はんこも、写真を見ながら必死で写生して作っていたが、ちょっと凝ったポーズにしたいとか、背景も欲しいとか、欲が出てくると全然対応できないし、印面もいくら彫っても綺麗に彫れるようにならない。

元々、美術は得意な方ではない。中学校の美術の成績は3だったし、高校では美術を選択していない。以前一緒に猫雑貨を作っていた友達は、昔から絵が上手で美術科卒だが、イメージを軽々と(と本人が思っているかどうかは知らないが)形にする才能に、何度もどうしようもない敗北感を覚えた。やっぱり才能の差ってあると思う。

そんなわけで、最近もクラフト欲は絶賛家出中。いつか自分の作品を見て「やっぱりまあまあいいんじゃない」と思えるようになるだろうか。
どうなることやら。