「ヴェーーーーーーヴォーーーーーギャーーーーーー!」

夫が最近マキシマムザホルモンというバンドを気に入って、自分の部屋や車の中で聞いている。車の中だと必然的に私も一緒に聞くことになる。
マキシマムザホルモンは歌詞が面白いんだ」と夫が言うので歌詞を見てみると、確かに面白い。でも聞いているだけだと「ヴェーーーーーー」とか「ヴォーーーーーー」とか「ギャーーーーーー!」とかいう調子で何言ってるのか全然わからない。

以前、知人がメタルのバンドをやっていて、いくつかのバンドが出演するライブに行ったことがあるのだが、その時も「ヴェーーーーーーヴォーーーーーギャーーーーーー!」としか聞こえなくて「歌詞書いてて虚しくならないんだろうか」と思ったことを思い出した。
マキシマムザホルモンのようにCDを出せるくらいのバンドになれば、歌詞カードも見られるが、無名のインディーズバンドだったら歌詞を知る機会なんてなかなかないだろう。
「今日もひとりベッドの中 君はもういないんだね」と書いたって「野に咲く花のようにあなたを愛したい」と書いたって「戦争はいらない ただ君と笑っていたい」と書いたって結局「ヴェーーーーーーヴォーーーーーギャーーーーーー!」だ。

私がもし売れないメタルバンドの作詞者だったら絶対心が折れて「ヴェーーーーーーヴォーーーーーギャーーーーーー!」って歌詞書いて「どうせ何書いたってこうなんだろ!これでいいだろ!」って叩きつけると思う。そしてその一件がきっかけとなりバンド内の人間関係が荒んで密かに狙っていたギターのイケメン男子ともぎくしゃくしてしまい隙を見ていたベースの黒髪ロングのクールビューティーにイケメン男子を横取りされドラムの小太りの素朴系男子がオロオロと右往左往しボーカルは激怒しキーボードは冷めた目つきで静観しなんだかんだで音楽性の違いによりバンドは解散し数年後音楽の道を諦めOLになったクールビューティーと「あんな男を取り合ったこともあったよね…何が良かったんだろうね…」と居酒屋で酒を飲み交わしたりして、でもやっぱり性根が変わってないクールビューティーに彼氏を取られかけたりするのだろう。そんな面倒に巻き込まれるのはごめんだ。ああよかった売れないメタルバンドの作詞者じゃなくて。あと特にクールビューティーに個人的な恨みとかはないです。