安売り禁物

日中パソコンに向かっていると、猫のヲザワが執拗に寄ってくる。
伸び上がり膝に前足をかけ、ひじに「すりすり」アタックをしかけ、隙あらば膝に上ろうとする。ヲザワは大きくて重いから膝にのせるのは嫌で無理矢理降ろす。しかしヲザワはいったんあきらめてもその場を立ち去らず、常に足下に控えて、目が合うとまた伸び上がって来る。かなりしつこい。
テレビを見ているときにはまずこんな寄りかたはしない。
パソコンへの嫉妬であろうか。テレビは許すがパソコンは許さないというのは、どういう了見なのだろう。マウス(ねずみ)の名がつくものを常に触っているのが気にくわないのだろうかなどとバカなことを考えてしまう。
コバケンはといえば、私には全く興味のない様子でどたばたと走り回っている。夫には帰宅すると寄っていって鼻先をなめたりとスキンシップをはかるコバケンだが私にはさっぱりである。夫が猫缶係で、帰宅するとまず缶詰を開けてやるのが日課なことが要因ではないかと思われるが、少々寂しい。
手に入らないものを求めるのが人間というものだ。寄ってくるヲザワを邪険にするくせにコバケンには寄ってきて欲しいと思うのである。
他にもコバケンはめったにゴロゴロと喉を鳴らさないから、たまに鳴らしているとよしよしと構ってしまったり、どうもコバケンをひいきしがちである。ヲザワにしてみたらこんなに一生懸命かまってもらおうとしているのになんだよという気持ちかも知れないが、希少価値に弱い飼い主だから仕方ない。男女関係にも同じことが言えるだろうか、自分の安売りは禁物なのである。