夫と棚と私のこと

数日家を空けて帰ってくると、また夫が棚を増やしている。
必要でないとは言わないが、すきあらば棚である。
自分の部屋とかトイレとか洗面所あたりはまあいいような気もするが、考えてみるとトイレに本棚を置く必要があるほど本を読む人でも、トイレに長居する人でもない。
対面キッチンの細いカウンターの下にも夫がつけた棚があるが、イヤホンと耳かきしか置いてない。どちらかというと歩くときに引っかかって邪魔なのだ。
猫が本棚に上るための台として、本棚の横にも棚板が取り付けてある。いわば猫をのせる棚である。壁にキャットウォークを作りたいと執拗に言うのも、本当は棚をつけたいだけなんじゃないかという気がしてくる。猫は動くから棚の可能性は無限だ。いい口実を見つけたものだと思う。
私がいないときに棚をつけるという行為は何なのか。逢い引きなのか、棚との。
「私と棚とどっちが大事なの!」と口走ったりすることのないように、夫とも棚とも、節度を持って接していきたい。