フルートその後

調整に出したフルートが無事に戻ってきて、楽器の状態は万全になったわけだが、残念ながら音はやっぱり出なかった。楽器屋さんで試奏したら「吹くの久しぶりなんですか?」と言われ「屈辱」の二文字を胸に苦笑いするしかなかった。
楽器のせいに出来なくなったので練習するしかない。レッスンの日は毎回カラオケボックスで音出しだ。少しずつ音は出るようになってきたが、まだまだ音質はひどいものだ。あまりにも音が出なくて楽器をえーいとたたきつけたくなったりする。中学生の時だってできていたビブラートなんて夢のまた夢という感じだ。
それでも運指は音質ほどには衰えていないので、曲を吹く楽しみはある。私は初見演奏が得意なので、楽譜をもらってすぐに合わせるのが好きだ。頭をぶんぶんフル回転させて楽譜を追うのが楽しいのだ。「アベさんは初見がきくのねえ」と先生にも感心された。
生徒は私の他にあと1人、先生を入れても全部で3人だ。少人数のアンサンブルは、吹奏楽とはまた違った軽やかさがある。全盛期の自分くらい吹けたらさぞ楽しいだろうと思いつつ、地道に練習に励む日々である。