お日様のにおい

いい天気が続くと、洗濯をしたくなる。
タオルケットとか毛布とか闇雲に洗って、外に干したい。外の空気でからっと乾いた洗濯物の感触は室内干しでは味わえない気持ちよさだ。
幼い頃母の友達の家に行って、そこの子どもとよく遊んでいたのだが、部屋の隅に布団がたたんで置いてあったので、気持ちよさそうだなと思ってばふっとダイブしたらものすごく怒られた。
それは昼間に干したばかりの布団で、その布団で寝るのをその子は楽しみにしていたのだ。「お日様のにおいがするんだから」とその子は言った。
うちでも布団を干さなかったわけではないだろうが、私はそれまでそんなにおいを感じたことはなかったので、そんな素敵なにおいを知っているその子が何だかうらやましく、贅沢な楽しみを知っているように感じられた。
今でも布団を干すと「お日様のにおいがするかな」と考える。軽く乾いたふかふかの布団は「お日様のにおい」を一杯に吸い込んで、夜が来るのを待っている。