あの頃のように

中学生の時から吹奏楽部でフルートを吹いていた。

高校も部活の盛んなところに入って吹き続け、大学生になってからは社会人バンドに入った。結構どっぷりと吹奏楽に浸かっていたのだが、引っ越しで札幌を離れたのを機に、バンドから離れて楽器を吹くこともなくなっていた。

最近何か楽しめる趣味が欲しくなり、フルートを再開することにした。社会人バンドに入り直すことも考えたが、練習日として多い土曜日の夜は家にいたいという理由から、吹奏楽ではなくフルートアンサンブルを習うことにした。

しまいっぱなしになっていた楽器を手に音楽教室へ行く。ブランクは約5年。といっても当時はフルートソロもばりばり吹いていた私だ。すぐに吹けるに違いない。

生徒は私を入れて二人しかいないので個人レッスンのような雰囲気。楽器を組み立て吹いてみると、びっくりするくらいカスカスの音しか出ない。これが私の音!?とという感じだ。息も全然続かない。指も満足に回らない。何もかもが初心者に逆戻りだ。楽器の構え方や唇の形など先生が指導してくれるが、全盛期を思うと、そんな基礎的なことを教わらなければいけないことが屈辱的に感じられる。私はそんなこと全部わかってる!と言いたいのをこらえて指導を受けた。

さすがに5年も放っておいた楽器は調子も狂っているだろうと、最初のレッスンのあと調整に出したら、オーバーホールが必要だと言われた。3万円以上かかるが仕方ない。音が出なかったのは楽器のせいもあると言うことだ。逆に、これで次音が出なかったら言い訳のしようがないということでもあるのでちょっと怖い。

とにかく個人練習が必要だ。家で練習できないことはないが、やはり思い切り吹く気にはなれないし、ぴーぴー吹いていると猫が嫌な顔をするから、カラオケボックスに行かなければならないだろう。カラオケボックスでの練習は何度かやったことがあるが、なかなか楽しい。練習に疲れたらヒトカラで少し歌って気分転換もできる。思いっきり息を吸って、吐くという行為は気持ちをすっきりさせてくれるような気がする。昔の自分ほどには吹けるようにならないかもしれないが、早くビブラートくらいはかけられるようになりたいものだ。