「音姫」は恥ずかしい

最近外のトイレに「音姫」が付いているのをよく見かける。用を足している音を聞かれないために水の流れる音を流す装置だ。
しかし私はあの機械が使えない。なんだか恥ずかしくないですか、あの音。
あの音は本物の水を流す音とは明らかに違うから、音姫を使っていることは外の人に必ずわかる。つまりあの音が流れていると言うことは「私は今用を足す音を出していますが、聞かれたくありません」と皆に知らせていることになる。ところが、あの音姫の音で完全に用を足す音が消えるかどうかと言われるとそこまでの威力はない。結局用を足す音は聞こえてしまうのだ。
わざわざ「今私は人に聞かれたくない音を出しています」ということを周知しながら音を出す恥ずかしさ。たぶん音姫の音が聞こえたら、その奥にある本当の音は聞かないようにする、あるいは聞かなかったことにするのが大人のマナーというものなのだろう。しかし私は音姫の音が聞こえると意地悪く耳を澄ませてしまう。「そんなに聞かれたくないなら、聞いてやろうじゃねえか」という気分になってしまうのだ。そして「やっぱり聞こえてるし。あんな恥ずかしい機械使うものか」と思いを新たにする。
でももし音姫が改良されて、用を足す音を完全に聞こえなくできるようになったら使うかって言われると「そこまでして消したいほどのたいそうな音なのか」と思われそうな気がしてやっぱり使えない気がする。今年も音姫とは徹底抗戦の構えで行きたいと思います。
ところで音姫って男子トイレにも付いてるんだろうかってことが猛烈に気になってきたんだけど、一生懸命仕事に励んでいる夫に「男子トイレって音姫付いてる?」なんていうバカなメールを送るのは気が引ける。誰か教えてくれないかしら。